検察改革

最高検察庁はこのほど、検察の倫理を定めた「検察の理念」を発表しました。

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20111001k0000m040105000c.html

http://news.livedoor.com/topics/detail/5904153/

郵便不正事件で無実の村木・元厚労省局長が、証拠の改ざんで罪に陥れられようとした大阪地検特捜部の不祥事を受けて設置された「検察の在り方検討会議」の提言を受けて検討されていたものです。

「検察の理念」の主な項目の要旨は

▽法令を順守し、厳正公平を旨に公正誠実に職務を行う▽無実の者を罰することがないよう真相解明に取り組む▽被疑者等の主張に耳を傾け、十分な証拠収集に努め、冷静、多角的に評価を行う▽取り調べにおいて供述の任意性の確保に配慮し、真実の供述が得られるよう努めるーなどです。

大きな権力を持つ検察官に、これまで公務員服務規律以外に行動の規範となる規定がなかったこと自体が驚きであり、「無実の者を罰することがないよう」、「被疑者の主張に耳を傾ける」、「供述の任意性の確保に配慮」など職務上当然のことを徹底しなければならないことにも問題の根の深さがあります。

私の経験から、被疑者イコール犯罪者であり、無実かもしれないとの想定は検察側にはありません。また、取り調べの目的は真相究明ではなく検察の組み立てたストーリー通りの供述調書を作成することであって、否認しても否認の調書は作成されず、被疑者の主張に耳を傾けることなどありえないことでした。

恫喝、脅迫を繰り返して私を調べた検事は、「我々は、国民から付託され、何をしても許される組織だ」とうそぶいていたのです。

この「理念」が今後徹底されなければ、決して冤罪はなくならないでしょう。

「検察の在り方検討会議」のメンバーの一人でジャーナリストの江川紹子さんは、▽検討会議の提言にあった『誠実な証拠開示』が消えているが、証拠は真実発見のための公共財産であり、(立件に不利なものであっても)証拠を隠すことなく誠実に証拠開示するべき▽調書には供述を正確に録取して、被疑者に有利な事情を意図的に省いてはならず、否認の場合もその旨の調書を作成すべきーとの見解を示しています。