聴聞会

私の市長時代の退職手当について、竹内現市長が返納を求める方針を決めたことについて、先日市役所内で聴聞会があり、代理人弁護士とともに私も出席、同意できない旨の意見を述べて意見陳述書を提出しました。
返納が求められるのは、10年前の平成15年5月と、6年前の平成19年5月に支給された退職手当合わせて約5千万円です。
今年2月に私の上告が棄却されたことを受けて、5月に枚方市が「談合問題の総括」をまとめたさい、退職手当の返納を求める方針も公表されました。
市がまとめた「総括」は、判決文をごく簡単に要約したもので、極めて不十分ながらも▽行政側の事務執行上のプロセスに談合が入り込んでいなかったこと(=つまり官製談合ではなかったこと)▽民亊訴訟の判決から、市に実質的な損害がなかったこと(=大林組等からの賠償金でむしろプラスになっていること)などの点は記載されています。
私は、判決そのものに重大な事実誤認があることから現在再審請求を準備しており、市に対し「総括」の見直しとともに、退職手当の返納について慎重な対応を求めていきます。
聴聞通知書によると、退職手当返納の根拠とされているのは、「市長の給与及び退職手当に関する特別措置条例」をはじめ関係する四条例です。
「特別措置条例」は、私が起訴された翌日の平成19年8月21に施行されたもので、「退職手当の全額を返納させることができる」との内容がうたわれています。
これに対し、意見陳述書で指摘したのは、
1、枚方市の条例において、本件退職手当の返納の根拠となりうる法令が存在せず、本件不利益処分は違法であること
2、仮に、根拠となりうる法令が存在したとしても、返納の要件を満たすものではないこと
3、仮に1、2、の要件を満たしたとしても、退職手当全額の返還を求めることは行政裁量を逸脱するもので違法であること
の三つの論点です。
具体的には、
1、の根拠となる法令については、▽特別措置条例では、「不利益不遡及の原則」から、施行日以前に支給された退職手当について遡及して適用し、返納させることはできない▽それ以前の条例では、「市長等の退職手当の支給方法については、一般職員の例による」とのみあり、返納について準用されると解釈することはできない―など、いずれの条例も本件返納の根拠にはならないこと
2、の返納の要件については、判決に重大な事実誤認があるため再審請求の準備をしている状況での返納命令などが、法令の適用を誤っていること
3、については、「返納させることができる」と、一定の行政裁量を認めた条例の規定であるのに、支給後10年及び6年も経過した退職手当全額の返納を求めるのは、「不利益処分は必要最小限でなくてはならない」とする「比例原則」の観点などから行政裁量を逸脱すること
などの意見を述べるとともに、以上の点について当局側に再三にわたって質問しましたが、明確な答えはありませんでした。
最後に、▽今後設置される枚方市退職手当審査会の場で私の思いを述べさせていただくこと▽事務局が作成する本日の聴聞調書は「要約」ではなく「全文」掲載とし、事務局が録音した内容は破棄しないこと―などを申し入れました。