公会計の改革 2

第2回目の「公会計セミナー」を19日に開催しました。
自治体会計に複式簿記などの企業会計の手法等を取り入れて財政状況を把握しやすくし、財政の健全化を図る「公会計改革」を進めるのがセミナーの目的で、今回のテーマは「官庁会計」の失敗の歴史。
自治体の財政破綻を防ぐツールとして、公会計を改革しようとの取り組みが始まって十年以上が経ちますが、まだほとんどの自治体で従来通りの官庁会計が行われているのが現状です。
その原因は、市町村長、地方議員、財政担当職員ら地方財政の担い手が公会計改革の意義を十分に理解していないことや、現行の会計制度では財政の実態が明らかになりにくいため、財政悪化に対する危機意識が薄いことにあるといえます。
そこで、セミナーでは、昨年まで大阪府の財政改革の担い手として活躍されていた元職員(現公認会計士協会準会員)を講師に招き、財政破綻寸前の大阪府や府内各市の過去の財政運用の失敗例を見ながら話が進められました。
とくに問題視されているのは、税収減など財源不足による赤字を補う対策として国が発行を認めている「臨時財政対策債」についてで、▽「借金をしても返済は国が地方交付税で措置してくれる」という総務省の説明のため、どの自治体でも借りないと損とばかりに乱発されている▽しかし、地方交付税で措置されるという説明はまやかしで、実際は自治体の借金が増えるだけ▽国全体の発行残高は平成22年度末で31.4兆円に上り、今後際限なく増加していく▽この制度のおかげで、苦労して真面目に行革に取り組むことが馬鹿らしいという考えが生まれ、モラルハザードが起きているーなどが指摘されました。
現行の単式簿記会計では、こうした借金も決算上は収入として示されるため、実質収支が黒字となっていれば、実際には借金が増えていても実態が分かりにくいというミスリードが起こってしまいます。
このセミナーをきっかけに、公会計の改革を推進する公認会計士グループと財政健全化をめざす地方議員とのコラボレーションが進み、自治体改革のベクトルが上がることを期待しています。