映画「約束」

先日、「名張毒ぶどう酒事件」の冤罪を描いた映画「約束」を鑑賞しました。
52年前に三重・名張市で発生したこの事件については、昨年5月に、無実の死刑囚、奥西勝さんの再審取り消しが決定されたさいに本ブログに書いています。

http://d.hatena.ne.jp/nakatsuka1956/searchdiary?word=%CC%BE%C4%A5&.submit=%B8%A1%BA%F7&type=detail

一審で無罪、高裁・最高裁で死刑、その後、7度目の再審請求で一旦再審が決定しましたが、検察の反対による差し戻し異議審で再審が取り消されたのです。

密室の取り調べで強要された、事実でない自白調書以外は物的証拠が崩れているのに、過去の誤った判決をかたくなに守り、無罪が伺える事実があるにもかかわらず、再審すること(=無罪決定ではなく、もう一度審理をやり直すこと)すらしようとしない裁判所の実態に愕然とします。裁判所の権威とは一体何なのでしょうか。

▽一旦再審を決定した裁判官は辞職(おそらく過去の判決を覆した責任を取って)
▽しかし、その裁判官が職を賭して道を開いた再審決定を再び閉ざして再審を取り消した裁判官は栄転・・・
この事実が裁判所の体質を象徴しているのではないでしょうか。

「疑わしきは罰せず」「疑わしきは被告人の利益に」という刑事司法の原点に帰って、獄中で闘いつづけてこられた87歳の奥西さんがお元気なあいだに、速やかに裁判をやり直すべきです。

「約束」は、東海テレビのドキュメンタリードラマが映画化されたもので、全国各地のミニシアターなどで順次上映されています。