「クロヨン」50周年

今年は、黒部ダム及び黒部川第四発電所ができて50周年。

このほどエネルギー政策研究会で現地を視察訪問するとともに、「クロヨン」を挟んで長野県側の大町市富山県側の黒部市を訪ね、50周年事業など黒部周辺の魅力を活かしたまちづくりについて説明を受けました。
同研究会は、福島原発の事故を踏まえ、重要な政策テーマであるエネルギー問題について研鑽を深めようと、枚方、寝屋川、交野各市の有志議員、市民、事業者などをメンバーに発足。これまで高浜原子力発電所舞鶴火力発電所、中央給電指令所、堺太陽光発電所などを訪問研修してきました。
今回の信濃大町扇沢―(関電トンネル)―黒部ダム―(黒部トンネル)―黒部川第四発電所―(関電専用鉄道)―欅平―(黒部峡谷鉄道)―宇奈月のコースのうち、黒部ダムから先10キロ余りの黒部トンネル、地下200メートルにある黒部川第四発電所、そして関電専用鉄道で欅平へ至るルートは、いわゆる「関電ルート」として一般の観光客は受け入れていないところです。
途中、小型のケーブルのようなインクラインで地下に降り、トロッコ列車で高熱隧道を抜け、車両を一両乗せられる竪坑エレベーターで移動するなど、どれもが貴重な体験でした。

さかのぼること50年の巨大プロジェクトは、当時の最先端の技術が駆使されたものの、歴史に残る難工事として記録されています。
本州を縦断するフォッサマグナがこの地域に通っているためで、トンネル工事の途中で大規模な破砕帯にぶつかり、大量の冷たい伏流水の噴出や落盤事故の発生、さらに、急峻な斜面での滑落、冬季の雪崩などで、7年余の歳月をかけた完成までに171人もの尊い命が失われました。ダムには殉職者の方々の慰霊碑があります。
かつて中学の修学旅行で黒部ダムに立ち寄った懐かしい記憶がありますが、その時は建設工事に携わった人たちの苦労がこれほどまでとは思いもしませんでした。
完成から半世紀を経て発電の形態も様々に形を変えましたが、高度経済成長時代に欠かせなかった電力の供給を支えてきたシステムの原点を今回の研修でかいま見たような気がします。
さて、関西電力管内では、22日に電力使用量がこの夏最高の96%を記録、火力発電所でのトラブルと重なったことで、他の電力会社から計50万キロワットの緊急応援を求める事態となりました。
エネルギー自給率わずか4%というわが国で、しかも原発事故により甚大な被害が発生した深刻な現状を打開するため、・原発に代わる新エネルギーへのシフト・発送電分離電力自由化など新しい制度の整備・資源としての電気に対する市民の意識改革―など、エネルギー政策として取り組み、解決しなければならない課題はたくさんあります。